東京高等裁判所 昭和28年(ネ)234号 判決
小切手の失効により利益償還請求権の制度は小切手上の権利行使の方式が厳格な為之を緩和する為のものであるから、右利益償還請求権は失権当時小切手の所持人として小切手上の権利を行使し得た者に対してのみ与えられるべきものであつて、その当時小切手上の権利を行使し得なかつた者に対しては之を与うべからざるものであり、そのことは小切手法第七十二条の規定上に於ても明かなところである。従つて本件に於て本件小切手の所持人たる控訴人か呈示期間経過前に之を盗取せられ且右小切手の無効を宣言した除権判決をも得なかつた以上右呈示期間満了当時に於て本件小切手上の権利を行使し得なかつた訳であるから、控訴人は右小切手の呈示期間の徒過による本訴利益償還請求権を有し得ないものと言うべきである。